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シガ・アニュアル ’98 精霊の宿るところ -見えざるものの啓示-

¥500 税込

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『シガ・アニュアル』は、当館独自の年次展形式の企画として開催する現代美術展で、毎回テーマを設け、現在活躍中の若手・中堅の美術作家の作品を通して、現代美術の多様な状況を紹介している。今回の『シガ・アニュアル』は、科学や人間の合理的精神では捉えられない世界、人間を超越した実在的存在、宇宙と生命の神秘を探り、造形芸術によって表現しようとしている3人の作家の作品を展示・紹介した。
浅岡慶子は、果てしなく広がる闇の中に、光を発する不思議な球体が浮遊する「球(じゅ)」のシリーズと、ポリエステル樹脂でできた透明の球体の中に、鮮やかな色彩が乱舞する「ALAYA」によって、人知を越えた不思議な世界を垣間見させた。
黒川弘毅(ひろたけ)は、手で大まかに成形した窪みや土中に溶解したブロンズを流し込み、グラインダーで研磨した立体作品の中に、人間を越えた絶対的な存在を暗示した。
粟国久直(あぐに・ひさなお)は、方形の格子に仕切られ、色ガラスをはめた木製の収納棚の中に、蜜蝋でできた月や蓮の花、染色体などを収めた。それは過去から連綿と受け継がれた人類の記憶を伝える方舟であり、死者の霊と生者が共存する空間でもあった。
かつて美術は、芸術家や彼らの属する社会が抱く世界観・宇宙観と不可分に結びついていた。しかし近代に至り、芸術は自律性を標榜し、文学・哲学・宗教的な内容を排除するようになった。その結果、芸術はかつてもっていた豊かな意味内容を喪失するようになった。本展の出品作は、現代美術の中で見失われがちな深い精神性を宿し、目に見えないものを啓示する媒体としての役割を担うものであった。

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